犬を飼ったことはない

やまわんの散文置き場

冬の寒空に本間実

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8月に「キャプテン翼」のゲームと出会い、10月に「本間実」というキャラクターに心臓の手綱を握られ、無我夢中のまま年を越し、

「あ~、昨年の今頃はNew Orderのライブまで2か月きったと思ってたな~」

と思い返すタイミングとなった。

2021年1月末である。
今年は何を思っているかというと

「本間さんの誕生日まで2か月きっちゃったな~」

と思っている。
彼の誕生日は3月25日なのだ。

この記念すべき出来事以外で何かめぼしいものはあるだろうかと検索してみたところ【 電気記念日 】【 散歩にゴーの日 】【 大塩平八郎の乱が起きた日 】といったものが挙げられていた。黒澤明初監督作品「姿三四郎」の封切日でもあったらしい。

また、島崎藤村アレサ・フランクリンエルトン・ジョン京マチ子、アンミカ(敬称略)らも同日の生まれだという。

インターネットが発達した現代だからこそ、上記の情報は調べることに5分もかからなかった。連載当時であれば、あらゆる歴史上の人物の誕生日を図書館等で洗い出すしか術がなかっただろう。どれほど時間がかかっていたか。しかし、その機会を永劫得られないということは、逆に不幸なのかもしれない。

『かけた時間=愛の熱量』という方程式が成り立つと思っているわけではないが、大量に借りてきた本をめくりにめくり「3月25日」の表記を血眼になって探す経験は、少し、してみたかった。

そして、この字面のこともよく考えている。

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6文字全てがほぼ角のない緩やかな形で構成されたこの形。

名前は本人の意向に関係なくつけられる。
気づけばそれぞれ持っているもので、場合によっては枷となる。

「”みのる”ってなんかカッコ悪いよな…」とイライラしたことがあるかもしれない。だってゲームの中の本間さんはまだ中学生。本人の意向でどうしても叶わない、適わない、そんなことだらけだろう。

「俺、みのるが良いです」と生まれた瞬間の本間さんがご両親に伝えるわけもなく、彼は悪い言い方をすれば”勝手に”「本間実」にされただけなのだ。

それでも、この6文字とフルネームを通して流れる言葉の緩やかさに、私は彼の中にある穏やかな気質や、暖かみを感じる。

ここ数日の自転車通勤は頬に当たる風が痛みに近いが、このことを考えてニコニコしている。