犬を飼ったことはない

やまわんの散文置き場

空白だらけの、愛の始まり。

 

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▶ 主題歌

 

〜♫

みんなみんな知っているか
あれはあれは「キャプテン翼
ですが私は知りません
まだわずかな知見しかないのです
先月の今頃キャプテン翼といえば
【鎖を身体に巻きつける】
そんなパンクなやつがいる
サッカーボールと人間が
【スーッと登場する】漫画
それだけそれのみ何も知らない
はるか彼方のお話です
しかし現るこの“太陽”
キャプ翼新作神ゲー

昇る新たなニューチャンピオン

※これは一体なんなんだ!?
気づけば飛ぶぜ、大空へ

以下エコー※繰り返し

フェードアウト

〜♫

 

 

 

▶番宣 CM「ゲーム、買いました!」


私は、小学校・中学校・高校とゲームを買い与えてもらえない家庭で育ったため、自分で自由に買えるようになった途端堰を切るようにゲーマーとなっています。

※唯一買ってもらった覚えがあるのは、「ピコリン」(テトリス真似ゲー)「ポケットピカチュウ」くらい。ちなみに高校の時にお年玉でPS2を親に黙って中古で購入し、家族全員寝静まった深夜に居間のテレビへ接続して秘密裏にSIRENかSILENTHILLか零(覚えてないんだよな…どれだっけ…)をプレイしていたのですが、ある日とうとう夢中になるあまり朝までプレイしてしまい遂にバレてしまうという過去を持っています。


かといって満遍なく様々なゲームをプレイするタイプというわけではなく、馴染みがなくほとんどプレイしないゲームジャンルもいくつかあります。

❶コマンド式、ターン制等のRPG
初期「ファイナルファンタジー」とか「ドラゴンクエスト」といった王道作品です。両作品プレイしたことがありません。「ポケットモンスター」歴代作品ともそんなに縁がありませんね。DSリメイク版の「ポケットモンスター HGSS」ですら断念し、友人にまるごと譲ってしまいました。「龍が如く7」でRPGっぽいRPGを初めてクリアしたかな…。あと「Fate Grand Order」はRPGなのでしょうか?最近ログインもしなくなってしまいましたが二部本編は最新まで進めています!

❷対戦系ゲーム
対戦相手にリアル人格が搭載されるタイプのものですね。格ゲーなんか去年「ストリートファイター5」を生まれて初めてやったくらい。ゲームに縁がなさすぎる中学生私を不憫に思った従弟が、祖父母宅に長期滞在していた際に貸してくれた作品をやったことはあります。ゲームキューブ版の「大乱闘 スマッシュブラザーズ」です。でも、誰かと一緒にやってはいません。外出せずにずっと1人で、延々とゼルダを使ってNPC相手に闘っておりました。

祖父母宅、いとこたちがいる地がどこかって?
沖縄県です(海に行け~)


スポーツゲーム
何より無縁のジャンルです。
微塵も買おうと思ったことがありません。

 

何しろスポーツ競技に私は全く興味がないのです。


唯一このジャンルに関して保持する記憶といえば、これまた再登場願うのですが、サッカー少年であった前述の従弟が所持していた「ウイニングイレブン」の記憶です。ある日それを持って祖父母宅に遊びに来た従弟は(PS2のものでした)早々に普通のプレイを見ることに飽きた私により

・キーパーに無茶なプレイを要求(相手ゴールへ点を入れさせる)

・途中でボールを奪われてしまうと、すごすごと自チームのゴールへ走って戻っていくことしか出来ないキーパーを見て爆笑する

といった歪んだ遊びに付き合わされるハメになりました。タチが悪いのは操作をする気にもならないため、これを全て従弟にやらせていたということです。

こんな人間は、一生サッカーゲームとは縁がないでしょうねぇ。

 

 

 

 

 

 

 

2020年8月29日のことでした(厳密に言えばこれはキャプテン翼ゲームであり、サッカーゲームではありませんが…)

 

 

 

 

▶︎第1話「明かされる、出会い」

 

衝動的になんの考えもなしに買ったわけではありません。しっかりと出会いがあり、買うに至るまでの経緯がちゃんとありますので順を追って書いていきます。

私がTwitterで仲良くさせていただいている方たちにはゲーマーも多いです。そのため、新作ゲームのいわゆる【バズ動画】が回ってくる確率は高く、それにより私は「キャプテン翼のゲーム神ゲーすぎる」といった内容の凄まじい訴求力を持つ動画が添付されたツイートと出会います。

そこで繰り広げられていたのは、

・「ダンプカーか?」というほどの力強いタックルで相手チームを吹っ飛ばしてボールを奪えるという事実
・力強いシュートを放った跡として、芝生に焦げ目がついている(私が即RTしたのを見たフォロワーによる気づき) 


といったワクワクさせる気持ちしか起こさせない世界の広がり。

そして何よりも「これ、ちょっと欲しいじゃん…。」という気を起こさせたのは、「サッカーのルールをカケラも知らなくても、これ、プレイできるのでは?」と思わせたことです。この出会いがなければ、私はきっとキャプテン翼の新作ゲームが発売されているということも知ることはなかったでしょうね。

出会いはこのような流れでしたが、この時点で私の購入意思は固まっていません。

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この程度に留まっていました。

翌日くらいだったでしょうか。
私の周囲には、少年時代サッカーに明け暮れたという過去を持つ人類の先輩が複数人おりました。これまでそのことの詳細をちょろりと聞いても、興味もないし、よく分からないので聞き流すことしかできませんでしたが、今回は私の方からその方たちに話を振ってみたのです。

キャプテン翼って、やっぱり元サッカー少年達にとっては特別な存在なんですか?最近新しいゲームが出たらしくて、ちょっと気になっているんですよ。」

あのね、即座に皆さんの目の色が変わったんですよ。

「いや、ツインシュートなんか真似しまくったよ!」

「うまく脚が重なり合わなくて、くるぶし辺りをお互い強打して悶え苦しむとかね!」

「隼シュート!!とりあえず出てきた技は無理だろ!ってものでも絶対1回は必ず真似した。」

 

は?ツインシュートってなんだよ?っていうか、え?ハヤブサ?何?


加熱していくキャプ翼トークの流れに乗れない&理解(わか)らない私をよそに、ゲームは子どもがやるくらいで自分たちはもうゲームは全くやらないはずの彼らは、私が教えた予告動画を声をあげて見たり、さらには必殺シュート集の動画を見つけてきたりまでして、どんどん盛り上がっていきました。冒頭主題歌で歌い上げましたが、私のキャプテン翼に関する知見って、

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これくらいの、いわゆる面白マンガ枠としてしか認識していなかったんですよね。リアルタイムで週刊誌にて連載していた時代を生きていないため、サッカーに興味を持ち出すかしないと触れ合うきっかけがなかったためです。

まぁ、90年代にアニメ化もされているのでそれを見ていてもおかしくないのですが、とにかくスポーツに興味、本当になかったので…。

もちろん超有名漫画ですから、うっっすい知識として「大空翼くん」という主人公の名前はもちろんのこと、彼の「ボールは友達!」という基本信念は知っていましたし、「日向くん」「森崎くん」「若林くん」この辺りだけ、名前とぼんやりと見た目のみも知っていました。

ですが、1週間ずつ進んでいく誌面の上での大空翼くんが紡ぐサッカー人生物語が、実際のサッカー少年たちにどれだけの興奮をもたらしていたのか、

 

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と、知識なしの私に思わせるのには充分過ぎるほどの熱さが目の前で展開されていたのでした。噴火した火山から飛び出す火砕流のような勢い。


そして思いました。

 

これってもしや、キャプテン翼に触れる絶好のタイミングなんじゃない?


この人たちが今生み出しているこれだけの熱量の元になっている「キャプテン翼のキャラクター達」って、一体どれだけ魅力的なんだ??

 

普通ならここで、漫画なりアニメなりでストーリーを追っていくことを選択するのかもしれません。しかし、私はここで敢えてゲームを選択しました。

何故なら私、俗に言う「ミリしら(『1ミリも知らない』の略)」状態がものすごく好きなんですよ。

想像したいんですよね。

この人はこういう人かな。だとしたら、なんでこうなったんだろう?きっとこういう展開があってああなってそうなったに違いない。

とか。

それに、しっかりと本筋に触れた後にああこの人はこんな人なのかと思っていたんだけど、実際はこうだった。面白いなぁ。

とかも感じたいんですよ。

 

何にも知らない状態で触れるキャプテン翼の世界なんか、

もう絶対確実にめっちゃめっちゃ面白いじゃん!

 

こうして、まだ夏の厳しい暑さが残る八月末、出会いからそんなに日が経たぬうちに、ついにその時が来たわけです。

 

(LINEトーク履歴より)

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約3時間後……

 

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SwitchのDL版をついに、
というより、あっという間に購入していました。

 

【 現る太陽 】と歌いし「キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS」を…。

 

何も知らないくせに、デラックス版(税込1万円越え)をなんのためらいもなく買いましたね(大は小を兼ねる、という言葉をなるべく信条としております)

 

 

▶︎第2話「買ったはいいが…」

 

 

俺は今日から大空翼だ!やるぞ!みんな吹っ飛ばしてやる!

試合中のハチャメチャプレイ動画を見ただけで、公式予告動画すら見ないまま購入したので、てっきりこのゲームは翼くんになってプレイを進めていくのだと私は思っていました。

スクリーンショット等を残しておらず、冒頭ほとんどうろ覚えなのですが、確かストーリーモードである「DRAMATIC STORYS」を選択すると、入場口?みたいな場所で私のペルソナとなるはずであった大空翼くんが目の前にいます(ここで、あ、私は翼くんじゃないのかと、ちょっとシュンとしました。あとこれはもしかしたら初回起動時にメニュー画面が出てくる前に起こるイベントだったかもしれません)

そして私、いえ、俺くんは目の前にいる翼くんに声をかけられます。そして、なんか「行くぞ!」みたいなことを言われ、選択肢が登場しました。

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もしや、これ絆ゲージ系ゲームなのか?(ときメモGS3を死ぬほどやり尽くしたオタクなため、選択肢=絆ゲージイベントという思考回路を持つ)

この後、サッカーの会場(?)に入場していくのと同時に画面が白飛びしてフェードアウトしていったので、【俺くんが見た束の間の白昼夢】感が凄かったですね。

この始まりはもうワクワクが止まりませんでした。

だって、サッカーのルールなんか「オフサイド」という言葉があることくらいしか把握してない俺くんなのに、もう日本代表ユニを着てんのめっちゃ面白いじゃないですか。私は愉快に大爆笑していました。

今後、魅力的なキャラクター達とそれを取り巻くストーリの渦に飲み込まれることも知らず…。

 

さて、「DRAMATIC STORYS」では、「EPISODE OF TSUBASA」という大空翼くんの中学生編を大まかに追っていくモードと、「EPISODE OF NEW HERO」というキャプ翼メモリアルモードがありました。絆、深めてェッ!と思いましたが、翼くんモードの方に「初心者向け」というような表記があったため、操作も分からないしまずはそこからだろうと、私は「EPISODE OF TSUBASA」を始めることにしました。

なんか三連覇を目指すらしい。宣戦布告?に来たキャラクターがたくさん出てきたぞ。へぇ〜…これ日向くんか。聞いたことがあるし、なんか見覚えもあるな…。あ、もしかして、鎖の人じゃない?人気キャラだよね。

 

 

今思えば本当に信じられない話なのですが、キャラクターも話の流れもちゃんと分かっていないし、とにかく試合で早く相手を吹っ飛ばしたかったので、感情の起伏もなく冒頭の一連のイベントシーンはボケ〜っと見ていたんですよね。それから確か操作チュートリアルとなる南葛中チーム内での紅白戦を終え、「大友中という学校となんかの大会の優勝を賭けて戦うんだな。」という展開になりました。

ボケ〜っと見ていたため、大友中については

(髪型が洒落てた八重歯の子、可愛いな)

くらいを印象として、学校というよりは「新田瞬」というこの時は名前も知らない彼のことを心に残したのみでした。ちゃんとイベント中の会話とか心に留めて聞いとけやって感じですね。

しかも、

 

いや、我ながらキャプ翼知らな過ぎ!

その後の翼くんと監督のやり取りのある会話イベントも、サッカー用語やポジション名などが全く分からないせいで、何を話し合っているのか理解することが出来ませんでした。

そして申し訳ないことに、この大友中との試合が開始され、さぁ操作して南葛中を勝たせてくれよな!というプレイ画面までいったあと、私は2・3日ほどこのゲームを寝かせてしまいます。サッカーボールを扱うゲーム自体が生まれて初めてなので、「パス」「ドリブル」「相手の動きを見つつ複数キャラを切り替えて動かす」という基本的なサッカーゲームの要素に、チュートリアルを複数回やってみても慣れることができなかったのです。

ルールほぼ無用のサッカーゲームとはいえ、全ての基礎となる操作が出来なければ、そもそも舞台に立つことはできません。

 

 

 

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ポチポチ、とこのマイデザインを作り込みながら、

(ああ、デラックス版買ったけど、あの時魅せられたあの熱い想いにまで、私は到達できないかもしれないな…。)

と、買った瞬間の意気込んだ自分に申し訳なさを覚えていました。そしてこれはきっと数ヶ月、下手したら年単位の積みゲーになっていくだろうとも、思ったのです。

 

 

▶︎第3話「同志、登場」

 

 

これ、ほんとに奇跡的でした。

それからほどなく、フォロワーさんのいいね欄を見ていた時のことです。同じくらいのタイミングで同じゲームを購入し、プレイし始めていることが伺える1つのツイートがそこにありました(確かRISE OF NEW CHAMPIONSが画面に表示されているSwitchを撮影した画像が添付されていた)

そして、そこからツイートの流れを辿っていくと、どうもこの方はキャプテン翼の物語を味わったうえで、物凄い情熱に駆られて、更なる彼らの物語を自らの手で追おうとしているようでした。

 

 

情熱に満ちたツイートをいくつかリツイートさせていただいたのちに、投稿した私のツイートです。私同様、サッカーゲームに慣れていらっしゃらないのに、「絶対クリアしてやらぁ!」という心意気に満ちていました。ゲームのプレイに対するモチベーションアップ効果もあるかもしれないなと、この方をフォローさせていただいたのですが、もう、

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私の思惑は、有難いことにまさにその通りの結果を生みました。なんと諸々を経てこの方とはフォローし合う形となり、2人で手取り足取りクリアを目指す体勢を作ることができたからです。

操作に慣れない、話も分からない、誰かに頼んだところでアクションゲーム好きが集う私のゲーム仲間界隈ではこのゲームを始めてくれることは絶対ない。そんな状態だったので、私の知識不足を補いつつ叱咤激励してくれる存在はマジで救いでした。

今思えば、前を向いて頑張るぞというこの方の意気込む姿は、大空翼くんの魂を背負っていたような気がします。もしかしたら、へなちょこプレイヤーの私を翼くんが導いてくれた…?

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このいいね欄からの出会いがなければ、
フォロワーさんがそもそも1つのツイートにハートをつけていなければ、

私は東邦を2-0で負かすこともできなかったはずですし、今こうして朝の4:00までこの文章を書くこともなかったでしょう。

こうして、ミリ知ら状態の私の中のキャプテン翼の世界が、少しずつ埋められていけそうな土壌ができたのでした。

 

▶︎第4話「想い、ボールに乗せて」

 


南葛中メンバーを操作し、大友中から始まり、花輪中、東一中、比良土中、ふらの中、そして東邦中と、途中途中で勝てない勝てないを繰り返しながらすすめていった「EPISODE OF TSUBASA」。

原作漫画の魅力をうまく落とし込んでいるハイクオリティなCGキャラクターのモデリング造形はまさに匠の技に違いなく、ダイナミック、そして繊細に、これまでに私が触れたことのなかったキャプテン翼の世界を見せてくれました。

どうもSwitch版はPS4版に比べて「ロード時間が長い」らしいのですが、ミリ知ら勢の私にとってキャラクター紹介が差し込まれるロード画面にはとても助かっていました。その時間でざっとその人となりを知ることができるし、書かれた説明文から色々想像できる時間をも与えてくれたからです。

例えば、

僅かな説明文から大友中の並々ならぬ反逆精神を読み取ったり、

「来生」が読めず(バカ)彼を「龍が如く」シリーズにおける伝説の極道にしてしまったところを「きすぎだよ」と訂正してもらえたり、

翼くんのサッカーセンスだけでなく努力により勝ち取っていく途方もない強さの片鱗をとんでもないものに例えたりと、

かなり楽しんでいましたね。

そして、これは最初に触れる媒体がゲームというもので本当に良かったなと痛感した部分ですが、ボールだけでなく大空翼の立っている場所を目指していくサッカー少年達は私のボタン操作によって一喜一憂するんです。私操作の南葛が負ければ南葛V3の正しい話の運びは叶わないし、一方で勝利した相手チームに(見ることはできないけど)新たな物語が始まる。そして南葛が勝つ正しい話へ進めば、相手チームは負けたことを苦い悔しさだけで終わらせず何が自分たちに足りなかったかを把握したうえで、南葛みんなの背中を叩いてくれる。

そのバトンを、プレイヤーが、
私が!!!!!!
つなぐんですよ!!!!!

感情移入しないわけがなくないですか?

 

 

このくらいの知識量だった私のキャプ翼世界。

 

 

それがプレイを進めていくことで、上記のような緻密な形にまですることができました。


9/27 13:50 追記:上記ツイート、右端に自信満々に「Yuzo Morisaki」と書いてますが「これ森崎くんだっけ?」というこんなトンチキnoteをしっかりと読んでくださった方からの指摘がありました。見た目判断での森崎くん認定なため、間違っていたならすみません!求む、正解!


しかもキャラクター達だけではなく、今では割り振られたポジションの意味もほんの少しだけ分かるようになったんですよ。最初の頃は「MF」を「ミッドナイトファイター?」と読んでいたのに…。微塵も興味がなく、ワールドカップすらもちゃんと見たことがない私にとって、とってもとっても大きな変化です。まぁほんの少しだけなんで、言葉が全く分からなくなること、多々ありましたけど…。

 

 

(いや、ちゃんと頭使えよ。ボールが入る、という言葉から多分サッカーゴールの枠内にさしかかる周辺のことだって分かるだろ!)

 

東邦中をストレートで負かすことができたこと、今でも信じられません。

 

 

そして翼くんの中学生編を終えた私は現在、日向くんに負けてしまった姿しか知らない男の子、三杉くんのいる武蔵中に入学しています。

 

 

▶︎最終話「きみたちをまだ何もしらない」

 


だけどまだ私って「キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS」という作品でしか、泥臭くも輝かしいサッカー少年たちの物語を知らないんですよね。

中学生編に至る小学生編なんか、このゲーム内にある「COLLECTION」という項目に存在する最新アニメの画像に合わせて片桐さんがナレーションして教えてくれるやつでしか知らないので、「ロベルト本郷」「岬太郎」「若林源三」ついてなんか、さら〜〜〜〜〜っとしか知りません。しかも、なるべくあまり見ないようにしてるんです、この映像。見るよりも、人から話す伝聞だけで触れたかったので。

 

 

どうですか、この知らなさっぷり。カケラほども知識がないことがよくわかりますね。

一度「ボンバイエ本丸」と名前を間違えた「ロベルト本郷」は目の病気によりサッカー人生を断つことになるも、大空翼という存在に今後の人生を見出す日系ブラジル人の超絶天才プレイヤーで、

岬太郎」は引越しが決まっており、最後の別れの日にサッカー生活を共にした仲間たちからの寄せ書きボールを、乗っていたバスに向かって大空翼により放たれたシュートで手に入れ、

若林源三」は規格外のお金持ちで、野球チーム等からコートを守り切る頼れる男、そして急に飛んできたおおよそ届くわけないだろという場所から放たれた大空翼からのサッカーボール挑戦状を受け取り、そばにいるサングラスの男の人は専属のコーチで見上さんという名前であるということ、

中学生編にあまり登場してこない人物についてこれくらいの知識量になったのは…つい最近です(上記の一連の出来事を大まかに人から聞いた後、ゲーム内のムービーを見ました)

 

 

ご覧ください。「EPISODE OF TSUBASA」でやっと登場した若林くんに対しての何の実りもないツイートを。どれだけ彼に対する解像度低いんだよ。

 

そうなんです。
漫画もアニメも摂取していない私は、どうしたって知識量が不足します。

何も知らないんです。世界を知ったといえど、表面しか知らないんです。

 

だけどなぜそんな私は、彼らが履き潰した生まれたて初めて買ってもらったスパイクとの別れを考えたりしているのでしょうか。大空翼くんを目指してもどうしたって届かない自分への悔しさに、誰かが泣いていた日があったかもしれないと、心がギュッとなったりするんでしょうか。必殺シュートが遂に完成した瞬間はどれだけの喜びだったんだろうと、思いを馳せたりするんでしょうか。

クリアした中学生編の後にみんながどうなっていくかなんて、日向くんが鎖巻いてたことしか知らないのに…。

描かれた物語を完全に知らないからこそとも言えるかもしれません。彼らについていろいろなことを考えて想像することができるのは、自分で埋めていける余白がたくさんあるからかもしれません。長い物語の目次を開き、ページに割り振られたタイトルを見ながら、一体この物語では何が起こっていくのかとワクワクする気持ちに似ているような気がします。

まだまだ、彼らの物語をたくさん知ることができる。知らないことが、ほんとにたくさんある。だからこそ、ゲームで一部しか描かれなかったからこそ、いつか原作やアニメに触れた時に「あ、だからここはこうだったのか!」という気持ちを味わえることができるはずです。これってとっても贅沢なことではないかと感じています。

 

きみたちをまだ何も知らない。

そして、知らないことが嬉しいです。

 

▶︎エンディングテーマ

 

ありがとうございました。まさかニュー・オーダーに引き続く長文が、キャプテン翼になるとは思っていませんでした。

この曲で文章を締め括ります。

「Superheated(過熱)」というタイトルが今の私にぴったりです。歌詞はもう自分のそばにいない相手のことを歌ってるのかなという内容ですが、曲運びが爽やかに切なく、青春エンディングっぽいのです。