犬を飼ったことはない

やまわんの散文置き場

2019 巡り巡って、新たな秩序

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はとさん主催「私が動かされたもの2 Advent Calendar 2019」で本日12月24日(火)を担当させてもらいます、山ワンと申します。


 みなさん、Happy Holiday and Happy New Order

 

よし、これが書きたかった。もうこれだけ書ければ正直満足です。人間山ワン、人生29年目。これまでの生きざま、言葉遊びで出来ています。

 

しかし、これは建前です。全然満足じゃありません。

というわけでこれより先、本年1番愛を注いだイギリスのロックバンド「New Order」について多量の文字数で語ります。何年か過ぎ去ったのちに「あぁ、ここから始まったんだ」と懐かしむための備忘録も兼ねています。そのためやや説明寄りの文章になりますが、どうかお付き合いください。

 

 

 

あの頃そこに秩序はなく、未秩序な世界だった

時は2019年1月―――、当時の私はNew Orderについてほぼ知らないに等しい犬。海外音楽をたしなむ趣味はありましたので、知っていたのはその名前と数曲だけで、よく聞いていたのは「Academic」という曲でした。

1曲まるごと聞いてくださっても良いですし、「いや、はよ先読ませろ」という方は1:00くらいまでお聞きくださればと思います。

 

New Order-Academic(2015)

 

 

どうでしょうか?イントロから心を掴んできませんか?繰り返されるメロディと一定のリズム、得も言われぬ心地よさではないですか?そこから「さぁこの曲始まるよー!みんな、耳に意識を集中して聞いてね!」という流れから、空気に溶けこんでいくような声で流れてくる、

There was a time my world belong with you.

という1節目。

 

 

世が世なら

レオナルド・ダ・ヴィンチの創造意欲が

かきたてられちゃいますね、コレ!

 

 

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(えっ…?)

 

 

 

何!?天才!?こんな音楽、わたし今すぐ長い長い果てない白い浜辺をひたすら歩きたくなっちゃうよ!乾いた空気の中に冷たさと水気を感じるんだもん。世界の人類ごめんなさい。わたしは今、絶賛脳内プロモーションビデオのメインカメラに捉えられてアンニュイ美麗顔で歩いてるとこだから、誰も邪魔しないでください!

 

 

 

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(勝手に知らんやつの感情に巻き込まれた…)

 

 

 

と、感情が狂い咲きになりましたが、それは今ここに存在している犬だからこそ。今年冒頭の、New Orderについてほぼ知らないに等しい私にとってこの曲はただ単に「聞きやすくて良い曲」という存在でしかありませんでした。

New Orderとはいつ結成されたのか、メンバーは何人で、彼らの年齢世代はどの辺なのか、アルバムは何枚あるのか。何ひとつ微塵も把握していません。なんなら彼らをRadioheadと同世代くらいのバンドだと思っています。

ちなみに New Order の結成は1980年で、Radioheadは1991年か1992年だったと記憶していますので、まる1世代違うんだよね…。いかに私にとって、彼らが曲だけしか知らない存在であったかがよく分かります。2019年も暮れる現在では、毎日Twitterの名前欄で3月に行われる来日公演までを指折りカウントダウンしているというのに。

 

そしてこれは、文章冒頭のHappy New Orderに引き続く本日12月24日を選んだ理由なのですが、今日でぴったり70日の節目なんです!

 

カウントダウンの日数が100日を切ってからは、早く当日が来てほしいという気持ちと、来てしまえばあっという間にその時は終わってしまうので、なるべく来てほしくないという気持ち、この2つが相撲してます。はっけよい。

1年短いとはよく言いますが、去年の今頃は心の端にすらいなかった存在が現在では心の大半を占めているのですから、やはり短いとは簡単に言い切れないですね。確かにすさまじい勢いの波ではあるけれど…。

 

新たな秩序、彼らの名前はNew Order

ご存知の方には今更なお話ではあるでしょうが、今年初旬の私のような方に向けて、かいつまんで書いていきます。自分のファン歴も浅いですし、ボーカルであるバーナード・サムナーの自伝はまだ途中の途中までしか読んでいません。ベース・ピーター・フックの自伝は買ってもいません。つまり、正直そこまで詳しくはありません。私情も挟まれますし、間違いもあると思います。もし見過ごせない間違いがありましたら即座に指摘してくだされば幸いです。このへん、申し訳ありませんがご承知ください。

さて私は彼らについて冒頭でイギリスのロックバンドと書きましたが、テクノロックバンドと言った方が正しいでしょうか?うーん、いや、完全なるテクノというわけではなく、そのジャンルを取り込んだバンドだから、やっぱりロックバンド…?そうだね…、ロックバンド、かな…。すみません、私はこういった区分とかそういうのに弱いので…、分からねぇ…。

 

また、彼らは電気グルーヴ石野卓球さん・ピエール瀧さんの出会いの思い出として語られるバンドでもあります。 卓球さんが10月8日にツイートしていた、New Order「Blue Monday」をバックに楽しそうに抱き合う動画は最高です。必見ですのでぜひ。のちほど後述しますが、この曲に込められているであろうバンドの想いも含めると、より感慨深いシーンです。

 

とりあえず、バンドメンバーとそのはじまりについて、書いていきます。

 

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左から


● ドラム:スティーヴン・モリス (Stephen Morris) 
● ボーカル・ギター:バーナード・サムナー (Bernard Sumner)

● ベース:ピーター・フック (Peter Hook) 
キーボード・ギター:ジリアン・ギルバート (Gillian Gilbert) 

 

以上4名が2001年までの主要メンバーです。太字の3人にとっては、New Orderとは2つ目のバンド。

 

彼らの前身として、1976年結成のJoy Divisionというものがありました。

 

Joy Division 1stアルバム「Unknown Pleasures」の印象的なアートワークは結構有名なので、もしかしたらどこかで見たことがあるかもしれません。

 

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日本を代表するゲームクリエイター小島秀夫監督のTwitterをフォローされている方なら、覚えていなくとも目にしたことがきっとあるはず。Tシャツやらグッズやら、とにかくこのアートワークに関するものをツイートしています。

 

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もしかして最新作「Death Stranding」で描かれていた広大なフィールドの着想元は「Unknown Pleasures」のビジュアルだったりして…。

と、一瞬ちらついた私のゲーマー話は一端置きまして、こちらはNew Orderになる前、Joy Division時代のお写真です。

 

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ジリアン・ギルバートがおらず、代わりにNew Orderの写真ではいなかった1名がいますね。左から2番目の方。Joy Divisionのボーカルであったイアン・カーティスです。

ジリアンはドラム・スティーヴン・モリス(右から2番目)のガールフレンドで、バンドがNew Orderとなってから加入しました(のちにスティーヴンとも公私にわたるパートナーになりました)

 

 

さて、なぜイアン以外のメンバーはそのままにJoy DivisionNew Orderとなったのか?

 

 

一言で表すと、イアンが命を絶ったからです。

 

バンドが成功の道を歩みだし、いよいよアメリカツアーに出発する!という前日に起こったことでした。メンバーの誰よりも先に、彼はたった1人で別の場所へいってしまいます(自殺の理由については別項にて)

 

”誰か1人でも欠けたらJoy Divisionの名は使わない。”

 

こういう約束を交わしていた彼らは、Joy Divisionから新たにNew Orderへ。最後となったライブで披露したJoy Divisionとしての新曲に「Ceremony」というタイトルをつけ、1981年に最初のシングルとして発表しました。

 

 

New Order-Ceremony(1981)
細かく区分するとジリアン抜きの3人で録音されたバージョンと、ジリアンを含めた4人で新たに録音しなおしたバージョンがあります。これはVersion1なので多分前者かな。

 

Joy Division-Ceremony(1980年5月2日 バーミンガム大学でのライブ)

 

 

ぜひ、お時間ありましたら両方を聞き比べてください(Joy Division版は最初の方かなり声が遠いです。1:30からイアンの声がはっきり聞こえます)

 

この音源であるライブからほぼ2週間後の5月18日の日曜日に、イアン・カーティスは23歳で命を絶ちました。

 

ちなみにメンバー達がイアンの自殺を知ったのは翌月曜日のこと。New Orderの代表曲「Blue Monday 」は、その出来事を歌ったものである、というのが通説となっています。

 

 

New Order-Blue Monday(1983)

一度聴いたら耳から離れなくなるイントロから、

How does it feel to treat me like you do?
どんな気分なんだ、君が僕をこんな風にあつかうときは。
When you've laid your hands upon me and told me who you are?
君が僕に手をかけて、自分が何者であるかを告げるときは。
I thought I was mistaken
僕は間違いを犯した気がしてならない。
I thought I heard you words 
ちゃんと君の言葉を聞いていたと思ったのに。
Tell me how do I feel?
どう感じればいいのか、どうか教えてほしい。
Tell me now, how do I feel?
今、どう感じるべきなのか。

こんな歌い出しで始まるBlue Monday(拙い訳ですみません、誰か添削してください)

先ほどの曲背景が事実かどうかは別として、私が彼らってすごいなぁと思うのは、この曲を聴いた時、果たして陰鬱な雰囲気を読み取れるのかというくらいBlue Mondayがリズミカルな曲であることです。

確かに「気怠さ」という雰囲気はあるのですが、聞いてるこちら側にまでその重さがのしかかってくるような、突然すぎる誰かの死に際した時の歌とは私には感じられないのです。良い意味で。

(このあとワンダーウーマン1作目のネタバレを表記しますのでご覧になってない方はご注意ください。)

そして12月9日の月曜日に公開された「ワンダーウーマン1984」の予告編ではBlue Mondayを大胆にオーケストラアレンジしたものが使用されていましたね。なんというタイミング。原曲の特徴的なリズムをうまく利用し、期待感が最大限に高まる予告編になっています。

 

ワンダーウーマン1984 海外版予告(2019)

www.youtube.com

 

なんなら予告編のためだけに作られた音楽とすら思えるし、公式コラボMVといっても過言ではない気がします。この曲背景の感じさせなさ、Blue Monday、すごすぎる。そして前作で死亡したはずのスティーブが再登場する予告編にこのBlue Mondayを流す意味も、いろいろ勘ぐってしまいますね。

少し横道に逸れましたが、なんと言えば良いでしょうか。彼らのことが大好きになってからの私には、バンドの柱であったボーカルの死についてこんな風に歌いあげているところに、残されたメンバーたちからのイアンへ向けた、とってもとっても大きな愛情が感じられました。

メンタルヘルスケアに言及しながら、当時のイアンと自分たちについて回顧している彼らの言葉には、非常に重みがあります。

 

こうしてJoy Divisionの解散を余儀なくされ、1980年に始動したNew Order

1stアルバム「Movement」を発表し、その後Joy Division時と比較されたりして厳しい評価を受けながらも、ついに上記の「Blue Monday」で世界的ヒットを飛ばします。

「Movement」あたりのことを語るバーナード・サムナーのインタビュー映像がこちらです。

 

 

最近のライブでは解禁されていますが、彼らNew Orderは長い間JoyDivision時代の音楽を演奏してきませんでした。それに対して「商業的自殺」という言葉を述べています。そして、紆余曲折を経て新しいボーカルにならざるを得なかったことに対して「I found my voice.」と優し気な声で語る姿がとても素敵(Fワードのピー音にBizzare Love Triangleのイントロを使う演出がにくいぜ)

 

New Order-Bizzare Love Triangle(1986)

さらにここから先、メンバーそれぞれのソロ活動や、確執、バンドの休眠、解散、脱退など、書くべきところがたくさんあるのですが、今回は私の想いのページになるので泣く泣く割愛いたします。愛だけに…。すでにもう、Joy Divisionのところでちょっと語りはじめてるけど…。

2011年の再結成を機に、彼らは現在に至るまで世界各地で精力的にツアーをこなしています。本当にありがたいことです。遅ればせ参戦の私にも新たな供給があるのですから。

 

こちらは現メンバー。

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ベースのピーター・フックが脱退してしまっておりますが、サポートメンバーであった、

● フィル・カニンガム (Phil Cunningham) :写真一番右(先日誕生日だったので、おめでとうツイートをしたら♡くれました。ラブ…)
● トム・チャップマン (Tom Chapman) :写真左から2人目

以上の2名を正式に迎え、5名で活動しています。ジリアンは2001年に私生活を理由に脱退していましたが、2011年の再結成の際に復帰しました。

以上がかいつまんだ、私の想いが挿入されているため、なりたちだけ書くつもりだったのに長くなってしまった、New Orderについてでした。

 

秩序が私を侵食する 

さぁさぁ、よってらっしゃい、見てらっしゃい。何事にも出会いの瞬間というものがございます。いよいよ語られるは山ワンとNew Orderの運命的出会い。これを読まずに何を読む。

と、ハードルを上げまくっていきますが、そろそろオタク丸出し饒舌文章についてこれない方もいるのでは。大変すみませんが、まだ続くんですよ。

彼らが私にとって「名前を知ってるだけのバンド」から「お前たちの全てを私に伝えてくれバンド」に変化した一番最初のきっかけとして、1本の映画との出会いを書かなければなりません。

2019年4月1日にツタヤでレンタルしました。レンタルのきっかけは当時、人間的観点から気になっていた命。これについては書くべきか迷ったのですが、結局この気持ちから彼らに繋がっているということと、このくだりがなければ現在の私は存在しないので、正直に書かせていただきました。命がこの映画が面白いんだよ、とおすすめしてくれたのです。ほんとにありがとう命。サンキュー。

それがこちら。

24 Hour Party People(英・2002年、日本公開2003年)
監督:マイケル・ウィンターボトム

 

海外版予告

日本版予告

 

 

「24時間お祭り人間」?なんつーハッピーな映画タイトルだよ。というのがファーストインパクトでした。

この映画では、92年に破産してしまった音楽レーベル「ファクトリー・レコード」の栄枯盛衰と共に、「ニューウェイブ」「マッド・チェスター」「レイブミュージック」といった音楽シーンが描がれています。主人公はファクトリーを主立って取り仕切っていたトニー・ウィルソンスティーヴ・クーガンが彼を演じます。

「ナイト・ミュージアム」シリーズのオクタヴィウスを演じていた役者さんです(申し訳ないことに私はこのシリーズを見たことがありません…)

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「あのバンドもこのバンドも出てきてないじゃん!」など色々な意見があるようですが、私はこの時代の洋楽知識がすっぽ抜けていたので新しい出会いがたくさんあった映画でした。

 

はとさん主催のアドベントでこれを書くのは心苦しいのですが、とある登場人物が大量の鳩を毒殺する最悪なシーンがあるので注意してください(コミカルに描かれていますが、事実のエピソードでもあるのでかなり残酷)

タイトル元となっているのは、ファクトリー・レコードからデビューした、New Orderの後輩バンド「Happy Mondays」が歌う「24 Hour Party People」。オープニングテーマとして使われており、大変に「ハイ」な1曲となっています。ちなみに鳩殺してたのは、このバンドのボーカルです(今ではもう50代後半、娘のために薬はやめた、健康一番、彼の伝記映画企画も着々と進んでいるようです)

Happy Mondays-24 Hour Party People(1987)

ちなみにHappy Mondaysという名前は、前述のNew Order「Blue Monday」を由来としています。こういう部分、オタク的にちょっと精神高揚してしまいますよね。

 

さて、24 Hour Party People の予告映像をご覧になった方はお気づきになりましたでしょうか?見てない方はお手数ですが、少し戻って鑑賞にお時間をさいていただけますでしょうか?

どうでしょう。観ていただけましたかね。
それでは書きますね。

あのね、私、観てて声上げてびっくりしたんですよ。

 

えっ!?

 

 

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ショーン・ハリスじゃん!

 

しかも、とあるシーンではサイモン・ペグも出てきましたし、アンディ・サーキスパディ・コンシダインなどがファクトリー・レコードを支えるメンツとして出演していました。

パディ・コンシダインという名前にピンとこない方に向けての画像を挿入しておきます(手前の人物です)

 

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事前情報全くなしに映画を見たとき、ドンピシャで好きな役者さんが出ていると、ものすごい得した気分になりませんか?うわ、今日の給食何か見てなかったけど好きなメニューじゃん!やった~!みたいな。

そして私はたまに紙上で1人ツイッターを繰り広げることがあるのですが、これを観ていた時のノートをこのたび片付けで発掘しましたのでご覧ください。

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「いたいー!」っていうのは主人公のトニー ・ウィルソンが自分のレーベル所属アーティストとの契約書(まじの紙切れ1枚)の文言全てを、自分の指を切った血で書いていたシーンのことだと思われます。

 

はい、話を戻します。

 

ショーン・ハリスが演じていたのは Joy Divisionイアン・カーティスJoy DivisionからNew Orderへの変遷は主に映画前半で描かれているので、つまり彼は劇中半ばで死んでしまいます。

そのシーン、かなり無常の無なので、ファンの方がおりましたらぜひ見てほしいです(日本版予告に一瞬出てきます。憑依型俳優といわれるショーン・ハリス、撮影中はどんな様子だったんでしょうか → 12月9日の追記:いよいよDVDを購入したので、わずかに収録されていたインタビュー映像を観てみました。ほとんど映されているカメラを見ていませんでした。他作品のメイキングや本来の彼を知らないので分かりませんが、もしかしてイアンを演じていたということに起因しているのでしょうか…)

 

 

私は60~70年代の洋楽は親の影響もありぼちぼち聞いていました。しかし、先ほども書いたように、80年代~90年代の洋楽についてはほとんど知らないに等しいです。なので、本当にこの辺の時代の洋楽は未知の領域。

ちなみに親の影響下を抜け、自分で音楽を選ぶようになってから1番好きだったのは Franz Ferdinand です。しかし、今のNew Orderへの熱さと同レベルで追っていたかというとそこまでではなかったように思います。出会ったタイミングと、またその出会いの場が、まず彼らの内面の一部分に触れることができる”映画”だったから、ということが大きいかなと、今では思います。

私はこの映画で初めて知りました。当時のマンチェスターで巻き起こった音楽カルチャーの熱や、関わった人間たちのあらゆる激情を。映画なので事実通りではない部分もあるでしょうし、物語的に昇華されている側面も確かにあるでしょう。

しかし、熱狂のまま迎えたファクトリー・レコードの終焉と、それが今の時代まで何らかに形を変えて地続きで続いている、というこの映画の世界は、私を 2 Hour Party People ― 2時間お祭り人間状態にしました。

 

だってね、名前と数曲しか知らなかったバンドにこんなバックグラウンドがあったなんてさ、いや前に組んでたバンドのボーカルが亡くなったことはうっすら、ほんのり知っていたけれど、そんな突然だったの?

えっ、しかもそのボーカルをあのショーン・ハリスが演じていて、なに、New Orderって1980年代始動のバンドなの?メンバーそろそろ40代になるとか、そういうあたりじゃないの?いつも聞いてるAcademicって、えぇ、そんな人たちが作ってたの?そんなの、あんな声、永遠不動のキューティースウィートボイスってことじゃん。

ていうか普通にキャリア長い、わたし、うわ、ほんとになにも知らなかったんだね。なにも知らないで、ただ曲聞いてたよ。

あっ!まずい、私の感情が!!待って、どこいくの?ユーアマイソウソウ!いつもすぐそばにあってちょうだいよ。嵐!嵐!オーイェー!!これはまずい、まずいことだ。心臓がさながらコインランドリーで回ってる洗濯物だ。助けて!!なんだ、これは!!

 

 

だめ、もうだめだ!この人たちのこともっと知りたい!

知らなくちゃ!

 

 

完全なる激情にまみれた犬ですね。ワンワン…。

百鬼夜行ドラフト会議では第1位指名で間違いなし!ドラフト会議ってどんなものかよくわかりませんが…。

 

そしてそんな私を、エンディングで流れる2曲が「絶叫ジェットコースター ~ようこそ地獄のファイナルデスティネーションへ~ ツアー」に向かわせることになります。

 

Joy Division 「Love Will Tear Us Apart」と New Order 「Here to Stay」です。

 

 

Joy Division-Love Will Tear Us Apart(1980)

 

イントロが殺しにかかってるんですよ。擬人化したら絶対ジョン・ウィックですよ。ファクトリーとしての何もかもが終わり、わずかなシーンを挟んでエンディングを迎える24Hour Party People。それからこのイントロですよ。しかも「愛がわたしたちを引き裂く」と歌っている。歌っている声はイアンのものだし、曲を書いたのもイアンだっていうのに。

もう、こんなの今生きてる私たちからイアンへの想いを込めた歌でしかないじゃん!!

 

はい、ここでジェットコースター1週目です。

 

 

 

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ウワーッ

 

 

 

そして「Here To Stay」がきます。Chemical Brothersプロデュースということもあり、とても耳に残る曲です。「愛がわたしたちを引き裂く」から「ここにとどまる」がきちゃいますか。匠の技ですね。

それから映画の余韻をそのままに、私は鑑賞後にこの曲のMVをYouTubeで拝見しました。見なきゃ良かったな。いや、見なくちゃならなかったという逆説的な意味で。これがね、もうダメでした。いよいよ激情が大爆発を起こす決定打となりました。このMVは爆破スイッチです。ドカーン。マイケル・ベイも笑顔になるでしょう。

 

New Order-Here To Stay(2002)

す…すごいもんを見たぞ、と、ただただ思いましたね。

MVでは劇中の登場人物としてのバーナード・サムナー(※演じたのは「Life on Mars」のサム、「Doctor Who」の6代目マスターで知られるジョン・シム)が歌を口ずさみ、彼が回顧するかのように映画のシーンが差し込まれます。そして、彼と交互に映されるのは、終演後に誰もいないステージへ向けたカメラを持って、バーナードの姿を追い求め続ける青年。ここにとどまりつづけるのはバーナードを始めとしたNew Orderのメンバーなのか、はたまた彼を追い求めた青年なのか。それとも私たちか(青年を演じている方に見覚えがありましたら教えてください、私の力量では調べきれませんでした)

 

はい、問答無用でジェットコースターは無限週目に突入です。

 

 

 

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ウワーッ×∞

 

 

 

私「ウォォォォ!すごい力がみなぎってくる!New Order博士!これは一体…。」
New Order博士「なにそれ知らん、こわ。」

(出典:ギャグマンガ日和より)

 

そう、これが始まりでした。

この映画を見ていなければ私にとって今でも彼らは「聞きやすい曲を作る人たち」でしかなかったはずです。

そしてさらにこのあと巻き起こっていく様々なことにより、私は彼らに夢中になることになります(なることになりますって日本語、合ってますか?言葉が重複してない?ま、いいか)

 

工作スパイが秩序で私を取り囲む

さぁ、ここからが怒涛です。New Orderもう逃がさないとばかりの勢いで包囲網を展開してきます。

誰かが工作スパイとして「あいつにもっとNew Orderの良さを分からせてやろうぜ。」という意思の元に暗躍していたとしか思えません。すごいタイミングで、出会いが出会いを呼ぶのです。

まず、24Hour Party Peopleを鑑賞後から間もなくのある日、ふと手に取って購入した映画雑誌に、音楽映画のオススメとして「CONTROL(2007)」という映画が載っていました。そしてその紹介文には「イアン・カーティス」の文字が。

 

えっ…?この人知ってる、ていうか最近、知った…。

 

つまり「CONTROL」とは彼の半生を描いた映画でした。このタイミングで私の目に入ってくるなんて!これは「見ろ」と言われているとしか思えない!と、即座に鑑賞を決意。しかし、近場のレンタルショップにはどこにもなかったので、車で50分以上かかるツタヤまで行って借りてきました。

 

CONTROL (英・2007年、日本公開・2008年)
監督:アントン・コービン

海外版予告

 

ショーン・ハリスに続いて彼を演じるのはサム・ライリーです。「マレフィセント」のディアヴァルや、「傲慢と偏見とゾンビ」のダーシーが有名どころの役でしょうか。その彼が映画初主演をしたのがこの映画です(調べたら彼はもともとミュージシャンだったんですね)

24Hour Party Peopleと登場人物がかぶっているので、同じエピソードの描き方の演出の差なども興味深かったです。

また、この映画における「今日の給食なんだっけ、うわ!やった!好きなやつ!」役者は、ドラムのスティーヴン・モリスを演じていたハリー・トレッダウェイでした。

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(上が劇中で下がリアル、両方とも右端がスティーヴンです)

こちらの映画はイアンに焦点を絞っている作品なので、彼がいかに追い込まれ、たった1人で命を絶ったかまでが詳細に描かれていました。

 

ミュージシャンを目指し詩作の才能に富んだ青年がバンド仲間に出会い、公務員としても働きつつ、様々な出来事を自分の曲に昇華させていく。しかしバンドの地位が確立されていくにつれて、彼の世界はどんどん不安定になる。

てんかんの発症と悪化、現実の自分とJoy Divisionのボーカルとしてカリスマ的に崇められる自分との溝。内と外とに自分が引き裂かれ、何が自分なのか分からなくなり、“コントロール"ができなくなってしまう。

さらには、ある場所で出会った女性と妻と自分の複雑な三角関係の発生。それらが彼の持ち合わせていた真面目さ・感受性の豊かさといった美点を、果てしない重荷に変えてしまう。イアンは世界で1人ぼっちになりました。

 

そして彼は台所で、首を吊ります。

 

あのですね、私は、生まれて初めて、映画を見て寝込みました。

 

もう、映画の半ばくらいから激しい頭痛にみまわれまして。観終わったあとは早々と就寝したんですよ。そして、起きた時に驚愕。寝間着が汗でぐっしょり。

深い眠りに落ちている間に高熱を出し、目が覚める頃には下がっていたようです。実際、体温計で起床時の体温を測りましたが、何の変哲もない平熱でした。寝にくいなぁ、と起きることもなかったので、とにかくガーッと一気に上昇していたんだと思います。悪夢を見ることもなく、寝苦しい!と起きてしまうほどの寝込みではない辺りに、自分の生来の呑気さが感じられます。

 

―もしかして、これがいわゆる、「あてられる」ってやつ…!?

 

よほどのことがない限りこんなことは起こらない私、というか起こったことがない!ので、これはとても貴重な体験でした。2019年4月5日の出来事です(なぜ覚えているかというと翌日に免許を更新したからです)

怖い。24Hour Party Peopleを見た4月1日からわずか4日後のことなんですよ。これを機に、私はいよいよ本格的にNew Orderの曲を聴きこみ始めるのですが、まだまだ漠然としか曲を聞いていません。彼らに想いをはせて涙を流すなんて芸当は、到底この頃の私には無理です。今の私には、余裕です。

のちほど画像で見ていただきますが、今年度のNew Orderリスニングにかけた時間、マジのガチの段違いですからね。お楽しみに(?)

さて、彼らの曲が耳に馴染みはじめ、ライブラリの全体をシャッフル再生した時に、曲名までは分からずとも「おっ、これはNew Order」と少しずつ分かるようになってくると、もっと理解を深めたい 、もっと彼らが何を考えているのか知りたい、少しずつそう思うようになりました。

そして、まさにそんな時です。売られているのを発見したのか、何かで知ったのか、そのあたり失念してしまいましたが、この雑誌と出会います。

 

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工作スパイ「買え。」

 

 

はい、買いました。

この時の私は知らなかったのですが、2019年はJoy Divisionの1stアルバム「Unknown Pleasures」から40周年の節目であり、また、3月にはNew Order 1stアルバム「Movement」の記念ボックスセットが発売されていたので、この特集号の発売は当然といえば当然。しかし、そのことを知らない私は思うんですよ。

 

「もしかして、New Order君って…私のこと好きなのかな…?」

(幻想・幻覚・なんだNew Order君って)

 

 

この時以前は、全アルバムを聞き倒しておらず、且つまだ「この曲はあんま好きじゃない」とイントロの段階でスキップすることもありました。しかし、この雑誌で初めてリアルな彼ら、生身のNew Orderの声に触れ、また、ここぞというタイミングで私に関わってくる彼らに対し、いよいよそんなことをしている場合ではないと気づきます。

 

「えり好みしてる場合じゃねぇ、全てを吸収する!今のあたしはカービィだ!いや、ヨッシーかもしれない!極めるぞ、New Order!」

 

そして始まったNew Order生活。

私は自転車通勤をしていますが、その際に聴く音楽をほぼNew Orderに費やし始めます。季節は春から夏へ、気づけば7月になっていました。

私は暑さが苦手です。寒いのは耐えられますが、夏は全裸になろうが対処のしようがないところが苦手です。そんな苦手な夏がいよいよくるなぁ、と気分が重くなっていた私でした。

 

そんな時のことです。

 

私はNetflixを契約しており、様々な映画・ドラマを楽しんでいましたが、実はオリジナルシリーズの「Stranger Things」をこの時点でしっかり見たことがありませんでした(数か月前に1話だけ見てた)

 

ちょうど最新シーズンが配信された頃だったので、これを機会にいっちょ見るか!と見始めます。いや~、なんで早く見なかったのか。

なんてこった、Stranger Things めちゃくちゃ面白いじゃないかと見進めていきます。そして迎えたシーズン1「第4話:遺体(Chapter Four: The Body)」。このエピソードが始まってすぐのことでした。実際に確認してきましたが、だいたい本編3分50秒あたりです。印象的なドラム音が流れます。私にとって、それはとても耳慣れた音でした。

 

工作スパイは音響監督なのか?

 

 

Joy Divisionの「Atmosphere」流れてきた…。

 

 

Joy Division-Atmosphere(1980)

 

この曲は前述 24Hour Party Peopleにおいては主人公トニー・ウィルソンが葬儀場でイアンに別れを告げるシーン、CONTROLではラストシーンからエンディングにかけて使われていました(予告編でももちろん使用されています)曲の雰囲気とシーンの光景が相まって、私には到底忘れられない1曲です。

 

それを、あぁ、こんなことあるんですか?また別口から私に出会わせちゃうんですか?まじですか?本気?

 

しかも、工作スパイの仕事には抜かりがありません。一流です。映画化の際はレア・セドゥに演じていただきたいと思います。彼女は一部の隙もなく私を狙ってきます。

Joy Divisionに引き続いて、次の「第5話:ノミと曲芸師(Chapter Five: The Flea and the Acrobat)」では、New Orderが流れてくるんですよ。本編11分ぐらいからです。

 

New Order-Elegia(1985)

 

イタリア語で「哀歌」を意味するタイトルがつけられたこの曲は、文字通りイアン・カーティスへ向けたNew Orderからの追悼曲です。歌声もなく、歌詞もないこの曲は、遠ざかっていく誰かを見送るような、そんな1曲。Stranger Thingsにおける使用シーンも、ある登場人物の葬儀のシーンでした。

実はこの曲を初めて聞いた時、これまたご登場いただくのですが、小島秀夫監督のゲーム「Death Stranding」のトレイラー音楽が脳裏に浮かびました。

 

Death Stranding  Teaser Trailer -KOJIMA PRODUCTION(2016)

3分3秒あたりから。すごくそっくり!というわけではないのです。本当に私の印象としての感覚ですので、人によっては「全然似てないじゃん」と感じると思います。何でだろう。音の使い方が似てるって思ったのかな…。

 

また、小島監督は「Elegia」そのものをトレイラーに採用していたこともあります(しかし、このゲームに関しては監督がK●N●M●と諸々ごたごたが並行していたらしい作品でもあるため、実際に監督が採用したのかどうか自信がありません、このシリーズ未プレイなので…)

 

METAL GEAR SOLID V: THE PHANTOM PAIN  E3 Trailer-KONAMI(2015)

 

はぁ。出会いが多いよ。

Stranger Thingsの登場人物もセリフで言及するほど、Joy DivisionNew Orderは80年代のロック好きな人間ならつまんでて当然くらいの立ち位置だとは思います。ワンダーウーマンの80年代を描く新作映画の予告に、あの時代の象徴を色付ける要素として採用されるのも、これまた当然だとは思います。

そうはいっても、ねぇ、ちょっとどうですか。私、取り囲まれてません?こんな連続で生活に不意に絡んでくることありますか?類は友を呼ぶってこういうことですか?

New Orderへの意識とアンテナの範囲が以前の自分よりかなり広がっているので、単に気づきやすくなっている、ということもありますけどね。

しかし、私は非常に夢見る乙女体質なんですよ。こうやっていろんなものが New Order に繋がっていくとなると、「運命」という言葉に思考を結び付けて、もうどんどん好きになるしかないじゃないですか。

でも、これだけじゃないんです。

まだここまでの段階では、私の「好き」はしっかりと自分の心臓内・身体内におさまっており、溢れそうなギリギリのラインを保っておりました。

それなのに、翌月8月13日、ついにとんでもない事態がやってきます。

 

それは、私のiphoneに届いた、1つのLINEメッセージでした。

 

 

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New Order、来日、単独公演。
※しかも3月は私が30歳を迎える記念式典の月

 

ちょっと落ち着こうか。いや、落ち着けるか!!!!!

ギリギリのラインがついに決壊する時がやってきてしまいました。

 

あの、なんとなくイメージはしていましたよ。

前にNew Orderが来日したのは2015年だから、まぁそろそろ来日してもおかしくはないかな~。私って結構良いこと・変な事を引き寄せるタイプだし、New Orderだって呼んじゃうかも!だけど、単独で流石にそんなすぐには来ないっしょ。まぁ、来るとしたら、来年・再来年あたりに夏フェスあたりかな~。いよいよ私も夏フェスデビューかな!

これくらいのノリのイメージでした。それなのに、実際にやってきたのはまさかの単独公演・2days。そして私の誕生月。

レア・セドゥ、私1人を仕留めるのに重火器を多用しすぎじゃない?

 

お恥ずかしいのでカットしましたが、私はこのあとのLINEで「バーニー、私のために…」とかぬかしています。アホですね。

 

私はライブに行くということがそうそうないです。前回行ったのは2009年のFranz Ferdinandの来日公演。これを含めると人生で2回しかないはずです、記憶にある限り(親に連れられてというのはノーカウント)

果たしてNew Orderのファン層はどれくらいのものなのか!?やっぱり戦争なのか!?と怯える証拠画像が残っています。

 

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わたしの家かもしれない、というハイパーポジティブ自意識すごいな!

 

ちなみに、都度都度私の感情が漏れ出していますが、バーニーとはNew Orderのボーカル・バーナード・サムナーの愛称です。

 

最初メンバーの名前も把握していない頃から歌声が好きでした。そしていろんな方面から知っていくにつれて明らかになる本人像と彼のまとう雰囲気。そしてあの声。最愛です!なんだかいろんな表現をしたくても回りくどいし、逆に薄っぺらくなってしまう感じがして、彼に対しては軽々しく愛という言葉を使ってしまいます。

 

読み途中の自伝をパラパラしたら、最後の方に「CONTROL」でもシーンとしてあった、イアンに催眠療法試してる時の音声記述があったりしまして…、そこも…愛…。

 

また話逸れちゃった…。

 

はい、戻りましょう。そう、来日公演です。あと70日後に迫る、来日公演。取れないのでは、という心配は幸いにも杞憂に終わり、無事チケットは手に入れています(仏壇に供えています)

 

映画での出会いから始まり、いつか彼らを生で見れたらと思っていたその「いつか」が、速攻で来たわけです。時系列にまとめましょう。

 

3月、人類的観点から興味を持った命に「24Hour Party People」という映画が好きなんだ、面白いよ、とすすめられる 

4月1日、観る、ショーン・ハリスイアン・カーティスを演じていたこともあり、描かれていた時代と、数曲しか知らなかったJoy DivisionNew Orderに興味を持ち始める

4月5日、上記との間に目にした映画雑誌でイアンを描いた「CONTROL」という映画の存在を知り、観る、高熱を出す

4月〜5月、New Orderの曲をしっかりと聴き始める

6月、レコードコレクターズがよりにもよってJoy DivisionNew Orderの特集号を発行していたので買う、彼らの内面にも興味を持ち出す

7月、「Stranger Things」 で「Atmosphere」と「Elegia」に遭遇する、驚愕、運命づけられているのかと感じる

8月13日、New Orderの来日公演のニュースを知る

 

改めて見てみると、ことが起こるタイミングが凄まじいですね。だいたいほぼ1ヶ月単位ですから。

こうしてついに、来日公演の決定をもち、私はついにNew Orderファン獲得のために世界を暗躍する工作スパイ(演:レア・セドゥ)と、微塵の隙も見せずに完璧な包囲網を展開してきた秩序たちの前に膝をつき、全てを差し出しました。

これを以って、東洋の孤島に住む1人の人間、山ワン。New Orderに陥落と相成ります。

 

秩序と共に歩き出す

それから本日12月24日までの約4ヶ月弱、日数で言えば133日もの間、私の耳は余すことなくNew Orderのものでした。自転車通勤時、映画に向かう時の歩き道、買い物中のBGM…。あらゆる場所で彼らは私と共にありました。

結構上の方で私は書きましたね。

「のちほど画像で見ていただきますが、今年度のNew Orderリスニングにかけた時間、マジのガチの段違いですからね。お楽しみに」と。

それがこちらです!(Apple Musicありがとう!ちなみに12月22日時点の結果なため、おそらく記事を公開する頃にはさらに数時間プラスされていることでしょう)

 

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いや、他との、桁!!

日数に換算すると、12日と10時間分だそうです。

換算すると少ないな、と思ってしまいましたが…、やはり私はこの1年間、New Orderのことが本当に大好きだったんだなぁとしっかり目に見えてきて、自分でもなんだか嬉しいです。後から見返せる物証大好き!

なぜこれほどまでに他との差が激しいのかというと、試験でも受けるのかというくらい、最早ガリ勉のレベルでNew Orderの音楽を聴いているからです。

公演が決まるまでは全曲をシャッフル状態で聞いていましたが、ライブに行った時、演奏された曲目でたった1つでも分からないなんてことがもしあったら自分で自分を許せない!と思い、聴き方を以下のように変えました(あくまで自分に対してです、他の人が分かってなさそうにしてても特に気にしません)

 

まず、リリース順にアルバムを聴くこと。

そして、1枚1枚をとにかく聴き込むこと。

聴き込んだな、と判断する材料としては、「全体のある程度まで、イントロで曲名がわかるようになったか」「1曲の終わりに次の曲のイントロが自然に頭に流れてくるようになったか」、この2つです。

 

これが済んだらアルバムをまるごと「NO覚えたやつ」プレイリストに入れます。

アルバム2枚分がそのプレイリストに入ったら、今度はそのプレイリストをシャッフル再生し、イントロで曲名が分かるかどうか確認する。だいたい分かったら次のアルバムへ。これを繰り返しました。

 

そしてこの作業が12月頭くらいに最新のアルバム分まで終わったので、今はひたすらこのプレイリストをシャッフル再生しています。

 

ただそれでもまだパッと曲名が出てこないものがあったり、似ている曲名で混同してしまったりしているので、3月までまだまだ修行は続くでしょう。来年もよろしくね、New Order

 

それでは聴き込み始めてから知った曲で、特に好きになった3曲をご紹介します。彼らを好きにならなければ出会うこともなかったかと思うと、より一層愛情が増してしまう、そんな曲たちです。

 

Love Vigilantes-New Order(1985) 

なんとなく牧歌的で優しい歌だなぁ、ピクニックしたくなるな、というのが第一印象でした。しかし、その印象とは正反対に、戦争から家族のもとへ帰路につく男の視点で歌われている曲だと気づいた時、もう抗えない魅力を感じました。そしてこの男は本当に家に辿り着いているのか、つまり生きて帰っているのか?という部分を曖昧にしているところがまた…。

 

Crystal-New Order(2001) 

本当は公式のMVでご紹介したかったのですが、好きになった理由であるイントロからの歌い出しがカットされているのでこちらの動画で…。彼らのどの曲もイントロからの引き込み方がすごいのですが、私が特に心の臓まで掴まれたのはこの曲のイントロでした。The Killersの由来はこのMVに登場する架空のバンドだということは、おそらくNew Orderを好きにならなければ私は一生知ることはなかったでしょう。

 

Dracula's Castle-New Order(2005)

哀愁漂う切なめな曲調にも関わらず、思わず身体が動いてしまう、そんなリズムと曲の運びが大好きな曲です。また、歌詞が一通り終わってからの、聴いているこちらの感情をそれこそドラキュラの城まで連れ去るかのごとく畳み掛けてくるメロディーがたまりません(4:17〜曲のラストまで)なんとなく冬を感じる曲でもあります。

 

巡り巡ってニューオーダー

さぁ、いよいよこのnoteも終わりです。

この2019年はいろんなことが私をNew Orderに繋げてくれた年だったと、大量の文字を打ち込みながらしみじみ思いました。自分の好き・興味が最終的に巡りつくのがNew Order、本当にこんな感じでした。年の瀬12月に公開された前述のワンダーウーマンの予告編がその集大成といったところでしょうか。

しかもなんと、ライブ初日の3月3日から始まる「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展(国立西洋美術館)」では、New Order 2ndアルバムのジャケットに使用された、アンリ・ファンタン=ラトゥールの「薔薇の花籠」が展示されるそう。

 

Power,Corruption & Lies(邦題:権力の美学)-New Order(1983)

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元々の絵画自体から発せられる力もすごいですが、それに加えてジャケットサイズの正方形に合わせてトリミングされたこの形…。この柄の、Tシャツ、欲し~!!!と物欲センサーが振り切れてしまいます。

しかし、私、すごすぎる……。タイミングの神、私を愛してくれてありがとうという自意識過剰な気持ちしかわいてこない…。

タイミングの神に(勝手に)愛されている(と思っている)山ワンさんでございました。愛されているのはきっとNew Orderの方でしょう。

さぁさぁ、残るところ今年もあとわずか1週間ですね。

1980年にJoy Divisionのイアンが亡くなってから、始まりを控えている2020年は、いよいよ40年が経過する年となります。

最愛バーニーも、もうすぐやってくる1月4日には64歳です。来日までとにかく体調に異変がないことを祈るばかり。もちろん公演が終わってからも、メンバーのみなさんが健康でいてくれることをしっかり祈り続けていきますよ。

脱退して今は別々に音楽活動を続けているフッキーことピーター・フックの近影が「ドント・ブリーズ」に出演できそうなくらい屈強だったのも嬉しかったですね。ちなみに私はフッキーがバーニーの自伝をものすごい表情で読んでる画像が大好きです!(彼の脱退の原因はバーニーとの確執が大きいらしい…早く2人の自伝を読み終わらないと…。お互いがお互いをどう描写しているのか知りたいので)

 

表情の神が下りてきているフッキー

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あーあ、3月3日か4日、会場探したらフッキー、実は普通にいたりしませんかね。腕組みして会場のうっしろの方とかにいたりしないかな…。絶対いねぇよ!

2015年のNew Order単独来日公演では、終演後に「ピーター・フック来日決定!」なるチラシが配られてファンは笑ったらしいですが、本当ですか?面白すぎませんか?今回もこういうことないですか?

フッキーは「元カノとまた連絡を取ろうっていう気にはならないだろ?」と語っているので、お互いの動向をちょっとは気にしつつも彼らが完全に和解することはないでしょう。あったら、その時はケーキ食べるからね…、見ててね2人とも…。

はてさて、ここまで長いこと私の勢い任せの文章にお付き合いいただき、読んでくださったみなさん本当にありがとうございました。

そして主催のはとさんにも最大の感謝を!素敵な企画と機会をありがとうございました。これがなければここまで順立ててNew Orderと歩いてきた2019年をしっかり振り返ることはありませんでした。

最後はバーニーの自伝でしとどに涙があふれてきてしまった部分を載せ、そして私からNew Orderへのラブレターを綴ってから、このnoteを終えようと思います。次にnoteを書く時は来日公演前日と公演後でしょうか…。私、どうなってるんだろう…。

 

墓に入りたくないけど入るとしたら刻みたい一節、
それからラブレター

私は何にでも遅刻する人間の一人だ。先生にこう言われたのを覚えている。
「バーナード・サムナー、お前はきっと自分の葬式にも遅れるだろうね。」

(バーナード・サムナー著「ニューオーダーとジョイ・ディビジョン、そしてぼく」より)

拝啓 New Orderさま

まずは、この一年間、私の生活のBGMとして多大なるご活躍をいただきありがとうございました。単なるバックグラウンドミュージックというだけでなく、こんな時にはあの曲、あの曲をあそこで聞きたいからあそこへ行く、など、私が身体を動かすための信号として、大変優秀な活躍ぶりでした。

New Orderの皆さんにはどう頑張っても、どんなに一生懸命脚力を鍛えたとしても、確実に私は置いていかれてしまうので、バーニーが先生に言われた通り、ずっとずっと、遅刻してください。遅刻こそ人生、そんなスタンスで皆さん生きてください。バーニーとフッキーの仲直りだって、できれば私の目に見せてほしいけど、それも空の上でいいです。イアンやトニー、関わりある人たちの立ち合いのもと、なんだかんだ生き抜いたし、まぁいっか、いけすかねーけどここで水に流すか、と。そんな感じでしてください。わかんない、しなくてもいいかも…。

とにかく、いろんな出会いに関わってきてくれてありがとう。

3月に、元気な姿で逢いましょう!!!!!

2019年12月24日
(これを書き始めたのは相当前からの)山ワンより

 

Apple Musicで紹介した曲のプレイリストを作りました。

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